外国人となった元日本人の方の配偶者ビザ取得

更新日時:2020年6月21日

行政書士 佐久間毅

弊社アルファサポートでは、元日本人で現在アメリカなどの外国籍をお持ちの方から日本の配偶者ビザ取得のご依頼をお受けすることがしばしばあります。

 

通常は元日本人なので過去に日本で犯罪などを犯していらっしゃらない限り、他の配偶者ビザの要件を満たしていることが大前提とはいえ許可方向で検討されると言えます。

 

しかしながら、時折大きな問題をはらんでいる場合があり、その典型がアメリカ国籍などの外国籍取得後に日本国パスポートを使用して日本に出入国されているケースです。

 

生来日本人であった方が成人後にアメリカ国籍を取得されると、その時点で日本国籍を自動的に失います(国籍法11条1項)。

(国籍の喪失)

第十一条  日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。

そして日本国籍を失った時点でパスポートも自動的に失効します(旅券法18条1項1号)。

(旅券の失効)

第十八条  旅券は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その効力を失う。

一  旅券の名義人が死亡し、又は日本の国籍を失つたとき。

つまりアメリカ国籍取得後に日本パスポートを使用して日本に入国した事実は、外国人が有効でない日本パスポートを使用して日本に入国しているので、不法入国となります。

 

こうなると、過去に不法入国した経歴のある外国人が配偶者ビザを申請することになるので、難度が極めて高くなります。

 

すでに日本に入国されている方が配偶者ビザを申請する場合は、あたかも日本人であるかのようにふるまっている外国人(=不法滞在者)による配偶者ビザ申請ですので在留特別許可の案件となります。

 

このように一見すると簡単なように見えるビザ申請でも思わぬところに落とし穴があることがあります。配偶者ビザの申請には細心の注意が必要です。

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。

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