配偶者ビザ申請の必要書類について
更新日時:2020年6月21日
行政書士 佐久間毅
東京の配偶者ビザの専門事務所アルファサポートが、日本の配偶者ビザを申請するさいの必要書類について詳しく解説します。
配偶者ビザ申請の必要書類は、受理書面と補強書面とにわかれます
配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)を申請する際の必要書類は大きく分けて2つに分かれます。
ひとつは、配偶者ビザの申請が受付されるために必要な最低限の書類(受理書面)です。受理書面はすべての人に共通の書面として入国管理局が指定しています。
もう一つは、配偶者ビザの申請にあたって自分に不利な状況をカバーするための書類(補強書面)です。
受理書面をそろえれば申請を受け付けてもらえますが、「受付されること」と「許可されること」とはまったく別ものであることをまず理解しましょう。受付されるために必要なのが前者(受理書面)、許可を狙っていくためにさらに必要となってくるのが後者(補強書面)です。
収入の状況や交際経緯は人によって異なりますので、補強書面は状況に応じてアレンジされることとなります。
申請後に入国管理局から追加書類提出の請求が来ることもありますが、受理書面のみで許否の判断がなされそのまま不許可になることもあります。
入国管理局では補強書面のアレンジまでアドバイスしてくれませんので、フォローしなければならない事由がある方は行政書士に依頼しましょう。
立証責任と補強書面の関係について
配偶者ビザの申請にあたりなぜ補強書面を提出しなければならないかの答えはシンプルで、単に受理書面のみ提出しただけでは不許可事由を立証してしまうことがあるからです。
例えば、非課税証明書であったり少ない年収が記載された課税証明書だけを何の説明もなしにポンと提出した場合、収入要件を満たしていないと判断され不許可となっても文句は言えません。
配偶者ビザの要件を満たしていることの立証責任は申請人側にあるところ、提出された受理書面からは不許可にすべき事由しか読み取れないのです。
この場合に何か弁明する必要があるのであれば「事情説明書」を作成する必要があるでしょうし、その後所得が増えたのであれば「源泉徴収票」を添付するなどしなければなりません。
働く必要がないほどの資産をお持ちであるならば、そのことを不動産登記簿謄本や預金残高証明書で立証することになります。
自ら立証しなければ、多額の資産は「存在しない」ものとして扱われます。資産数十億円の方も、そうでない方も、立証しない限り扱いは平等です。それが申請人側に立証責任があるということの具体的な意味です。
下記の書類が必要になる配偶者ビザ申請の種類
以下のご説明では、「日本人配偶者」とは外国人とご結婚された日本人を指し、「外国人配偶者」とは日本人とご結婚された外国人を言うものとします。
また以下に列挙する配偶者ビザの必要書類は、新規に配偶者ビザを申請する際の在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請をする場合の必要書類です。
通常の在留期間更新許可申請の場合は該当しませんので別稿をご参照下さい。
配偶者ビザをお持ちの方が離婚して他の方と結婚をされた場合は更新許可申請をすることとなりますが、パートナーチェンジと呼ばれるこのビザ更新の場合は下記の書類が必要です。
配偶者ビザの書類作成上の注意点
注意点1:隠し事をしない
配偶者ビザの申請書類の作成をすすめていく過程で、積極的に嘘をつくまでには至らないが、できれば触れたくない、隠したい事項が出てくるかもしれません。そこが貴方の申請の弱点であることが多いでしょう。
その場合は、触れずに隠すのではなく、真正面から取り上げたうえでフォローすることが大切です。
触れずに隠したことがあるとどこかしら辻褄が合っておらず、申請全体が妙に不自然にみえるものです。
多くの配偶者ビザの書類に毎日接していると、こういう事柄とこういう事柄は多くの場合はセットで発生するという事柄があります。配偶者ビザ申請の内容は本当に人それぞれで千差万別ですが、しかしながら人間の営みである以上、ある一定のパターンがあります。そのパターンから外れているとおや?と違和感を感じるのです。
そうなると、入国管理局の審査官は多くの申請から不自然な申請を洗い出すために審査をしているのですから、きちんと説明がなされていない限り不許可まっしぐらです。
ありのままを書く。そして別途フォローする。それが王道です。
注意点2:物証と対比させる(立証を意識する)
物証を示すことができない事実をいくら列挙しても、どこまで信用できるのやら入国管理局を含めた第三者には分かりません。
立証されなかった事実は、存在しないものとして扱われます。これが申請人側に立証責任があるということの意味です。
そういう意味では(少し誇張した表現で言うと)最初に入国管理局へ提出する物証を選択して、それらについて解説していくようなスタンスでも良いくらいです。
それでは配偶者ビザの申請が受理されるために必要な書類から順番にみていきましょう。
配偶者ビザの必要書類【受付されるために最低限必要な書類】
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕①:申請書
行政書士にご依頼される場合はご署名だけすれば良いところまで作成してくれますので、ご苦労される場面はないでしょうが、念のため下記からダウンロードできるようにしておきます。
在留資格認定証明書交付申請の場合は多くのばあい日本人配偶者が署名して申請しますが、外国人配偶者が日本に滞在中であるときは、ご本人が署名して申請しても構いません。
在留資格変更許可申請の場合は外国人配偶者が署名して申請し、日本人配偶者が署名して申請することはありません。
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕②:392円切手を貼付した返信用封筒
在留資格認定証明書交付申請の場合に必要となります。在留資格認定証明書が交付されると在留資格認定証明書がこの封筒で送られてきます。
不許可の場合もこの封筒で不許可通知が送られてきます。在留資格変更許可申請、更新許可申請の場合は不要です。
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕③:証明写真
申請書に貼付する証明写真はそのまま身分証明書としての「在留カード」の写真として転用されますのでチェックは厳しいとお考えください。
身分証明書の写真として適当かが判断されますので、不鮮明であったり横を向いていたり帽子をかぶっていたりサイズが小さかったりすると受理されません。
また直近3か月以内に撮影したものである必要がありますから、パスポートの写真と同じでないか、パスポートに貼付された他国や日本の査証の写真と同じではないかよく確認しましょう。
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕④:戸籍謄本
お相手の名前が配偶者として記載されている戸籍謄本で、3か月以内に取得したものが必要です。婚姻届が受理されてから一週間程度で入手できます。
日本で婚姻が法的に成立していることのほか、ご家族の状況(離婚歴や子供の有無)などが確認されます。
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕⑤:外国人配偶者の本国官憲から発行された結婚証明書
外国人配偶者の国籍国でも婚姻が成立していることが確認されます。日本では結婚が成立したけれど、お相手の本国では結婚が成立していない状況は「破こう婚(はこうこん)」と呼ばれます。両国で結婚が成立してから申請しましょう。日本語訳もお忘れなく。
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕⑥:住民票写し
市区町村役場で取得する際、必ず「世帯全員」にチェックして請求します。
外国人配偶者が留学生や就労しているなど中長期滞在者である場合には、同居していればお相手の名前も載ります。外国人配偶者が短期滞在者である場合はすでに同居している場合でもお相手の名前は載りません。
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕⑦:住民税の課税証明書・納税証明書
日本人配偶者の収入の額と納税状況が確認されます。納税証明書の「未納額」欄に数字が記載されている方は、納期限を確認しましょう。
納期が到来しているのに未納であれば「滞納」を意味しますから、完納してから申請します。
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕⑧:身元保証書
身元保証書は日本人配偶者が作成します。日本人配偶者の収入に不安がある場合に、ご両親などの身元保証書を添付されようとする方がいらっしゃいますが、よくよく考慮し計算したうえで提出しないと藪蛇になりますのでご注意ください。日本人配偶者のみでは身元保証能力が不十分であることを自ら申告・告白するに等しい行為だからです。
保証内容をよく確認しましょう。身元保証人に経済力がなければ「滞在費」「帰国旅費」の保証はできませんし、身元保証人自らが納税義務を履行していない状況であれば「法令の遵守」についても保証の説得力が失われます。
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕⑨:質問書
夫婦が会話で使っている言語から、結婚に至ったいきさつまで、あれこれと聞かれます。当然のことながら無意味な記入事項はありませんので、ひとつひとつの記入事項が何かしらの審査要件に関連しています。質問書にはありのままに記載したうえで、ちょっとまずいかなと思う事項については別途フォローします。
配偶者ビザ必要書類〔受理書面〕⑩:交際を裏付けるスナップ写真
夫婦で写っているもののほか、ご家族やご友人と写っているものも用意しましょう。結婚式の写真を準備できない場合であっても、結婚がみんなにオープンになっていることをアピールしましょう。
配偶者ビザの必要書類 【許可を勝ち取るために準備する書面】
配偶者ビザの必要書類〔補強書面〕①:申請理由書
結婚した直後に申請する場合は申請理由が明らかなため作成することは少ないですが、これまで他国で結婚生活を送ってきた方など、なぜこのタイミングで日本の配偶者ビザ申請をする運びになったのかを説明する必要があるケースなどにおいて作成されます。申請の「背景」を説明する書類です。
配偶者ビザの必要書類〔補強書面〕②:事情説明書
多く利用される書面で、ご自身のウィークポイントについて事情を説明する必要がある場合に作成されます。不許可も覚悟しなければならない微妙な案件の場合は、入国管理局の内規を引用しながら、いきなり不許可にすることなく反証の機会を与えてくれるようお願いすることもあります。
配偶者ビザの必要書類〔補強書面〕③:生計説明書
世帯としての生計が成り立っていることを説明する文書です。他に説明すべき事項がある場合には事情説明書にまとめて記載することもあります。
その他の補強書面・・・状況に応じて添付します。
□ 上申書・嘆願書
□ 履歴書
□ 卒業証明書・在学証明書・成績証明書
□ 日本語能力を証する書面(日本語能力検定試験の合格証など)
□ 無犯罪証明書
□ 前婚配偶者との離婚に関する説明書
□ 身元保証人の在職証明書
□ 身元保証人の源泉徴収票
□ 身元保証人の給与明細書
□ 身元保証人の勤務先の会社概要
□ 国際電話・スカイプの通話記録
□ メールの写し
□ ラインなどSNSの記録
□ 所得税の納税証明書(その1、その2)
□ 法人の登記事項証明書
□ 確定申告書
□ 法人の決算書類
□ 土地の登記事項証明書
□ 建物の登記事項証明書
□ 賃貸借契約書
□ 預金残高証明書
コラム:行政書士は料理人であり照明係
配偶者ビザ申請において、行政書士は料理人のような立場にいます。
お客様が用意された食材をお客様よりも美味しく料理できるのがプロというものです。
お客様が集められた必要書類を、より適切なかたちで申請に活かすことができるでしょう。
また配偶者ビザ申請において、行政書士は照明係のような立場にもいます。
最近は多くの方がスマートフォンでの写真撮影を楽しまれていますので照明の大切さはご理解いただけるはずです。
同じ被写体で同じシチュエーションであっても、適切な照明があてられていると、まったく別人のような良い写真がとれます。
行政書士も同じようなもので、どこにスポットをあてるべきか良く理解していますから、同じ材料を入国管理局に提出するにしても分かりやすい好印象の申請になるでしょう。
またアルファサポート行政書士事務所は、入管法の裁判例に精通しています。
入管が不許可を出しかねない微妙な案件については先回りして判例を示し、入管を正しい判断へと導くこともできるのです。
■この記事を書いた人
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。